ABA(応用行動分析)とは?意味と具体例
東北大学院卒の発達障害学習ノート

たぶ先生(いわおひろあき) ・ 2026.10.13

はじめに

療育の相談をしていると、「ABA」という言葉に出会うことがあります。厳しい訓練のように聞こえて、身構えてしまう方もいるかもしれません。

けれども、ABAの土台にあるのは「なぜその行動が起きたのか」を、子どもを責めずに観察する見方です。このノートでは、ABAとは何か、基本の考え方、発達障害の療育との関係、家でできる関わり方を整理します。

1. ABA(応用行動分析)とは何か

ABAは Applied Behavior Analysis の頭文字で、日本語では応用行動分析(学)と呼ばれます。アメリカの心理学者スキナーが始めた「行動分析学」を、教育や福祉、医療などの実際の場面に生かす学問です。

ABAでは、行動を「その子の性格」や「やる気」の問題としてではなく、まわりの環境とのやりとりとして見ます。同じ子でも、場面や関わり方が変われば、行動は変わる。だから、変えられるのは子どもを責めることではなく、環境の側だと考えます。

2. 基本の考え方:ABC分析と強化

ABAでいちばんよく使われるのがABC分析です。行動を、次の3つに分けて見ます。

  • A(Antecedent)きっかけ:行動の直前に何があったか
  • B(Behavior)行動:その子が実際にしたこと
  • C(Consequence)結果:行動の直後に何が起きたか

たとえば「宿題の時間になると(A)、床に寝転ぶ(B)、結果として宿題をしなくて済む(C)」なら、寝転ぶ行動は「宿題から逃れられる」ことで続いているのかもしれません。

行動のあとに、その子にとってうれしいことが起きると、その行動は増えていきます。これを強化と呼びます。ABAでは、叱って減らすことよりも、望ましい行動のあとにうれしいことが起きるようにして、できる行動を増やすことを大事にします。

3. ABAと発達障害の関係

ABAは、とくに自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもの療育で、長く使われてきました。ことば、身のまわりのこと、人とのやりとりなどを、小さな段階に分けて練習していく方法がよく知られています。

一方で、ABAは自閉スペクトラム症だけのものではありません。行動の前後を観察するという考え方は、ADHDの子どもへの関わりや、学校での支援、大人の職場のくふうにも使われています。

療育の場では、机に向かって1対1で練習する形もあれば、遊びや生活の流れの中で自然に練習する形もあります。どちらが合うかは、子どもによってちがいます。

4. 家や学校でできる関わり方

  • 叱る前に、ABCを書き出してみる:困った行動の「直前」と「直後」に何があったかをメモすると、理由が見えてくることがあります
  • できたときに、すぐ、具体的にほめる:「えらいね」より「最後まで座って食べられたね」
  • やることを小さく分ける(スモールステップ):「片づけて」ではなく「まずブロックだけ箱に入れよう」
  • きっかけの側を変える:始める前に見通しを伝える、選べる場面をつくる
  • うまくいかない行動の「代わり」を教える:寝転ぶ代わりに「休憩カード」を出せばよい、など

結び

ABAは、子どもを型にはめる方法ではなく、子どもとまわりの関係を見直すための道具です。

「どうしてこの子はこうなんだろう」を、「この場面で、何がこの行動を支えているんだろう」に言いかえてみる。それだけで、関わり方の手がかりが見つかることがあります。

参考資料

  • Baer, D. M., Wolf, M. M., & Risley, T. R. (1968). Some current dimensions of applied behavior analysis. Journal of Applied Behavior Analysis, 1(1), 91–97.
  • 山本淳一・池田聡子『応用行動分析で特別支援教育が変わる』図書文化社、2005年

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書いた人 たぶ先生(いわおひろあき)
東北大学大学院文学研究科で社会学(理論社会学・地域社会学)を学び、博士後期課程まで進む(博士論文は未提出)。早稲田大学卒。発達特性のある子どもたちとのマンツーマン療育・教育に2010年から携わる。仙台で発達障害専門の家庭教師としてスタートし、児童発達支援・放課後等デイサービスの現場、複数施設のマネジメントを経験。いまは発達障害のインタビュー研究を続けながら、オンライン家庭教師・療育相談「いっかく」を開いている。

保育士/中学校・高等学校教員専修免許(社会・公民)/文学修士(専攻は社会学)/社会福祉士/児童発達支援管理責任者/産業カウンセラー

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