合理的配慮とは?意味と具体例
東北大学院卒の発達障害学習ノート

たぶ先生(いわおひろあき) ・ 2026.10.13

はじめに

「板書を写真にとってもいいですか」「テストの時間を延ばしてもらえますか」。こうしたお願いを、学校に出してよいのか迷う方は多いと思います。

合理的配慮は、そうしたお願いを支える考え方です。このノートでは、合理的配慮とは何か、法律との関係、学校での例、頼み方のコツを整理します。

1. 合理的配慮とは何か

合理的配慮は、障害のある人から「社会の中にあるバリアを取り除いてほしい」という意思が示されたときに、負担が重すぎない範囲で、その人の状況に応じて行う変更や調整のことです。

段差にスロープをつける、字が読みにくい人に拡大した資料を渡す、といった例があります。大切なのは、一人ひとりの状況によって、必要な配慮がちがうということです。

2. 法律との関係

合理的配慮は、障害者差別解消法で定められています。この法律は2016年4月に施行され、障害を理由にした不当な差別的取り扱いを禁じ、合理的配慮を求めています。

2024年4月からは、民間の事業者にも合理的配慮の提供が法的な義務になりました。それまでは努力義務でした。国や自治体、公立学校などは、以前から義務です。私立学校は事業者として、2024年4月から義務の対象です。

ただし、「過重な負担」になる場合は、すべてを実施できるとは限りません。その場合も、できない理由の説明と、代わりの方法を話し合う「建設的対話」が求められます。

学校では、合理的配慮は本人・保護者との「建設的対話」を通して決めます。その土台になるのが、学校や自治体が前もって整える「基礎的環境整備」(ICT環境や、校内の支援体制など)です。基礎的環境整備をもとに、一人ひとりに合わせて行うのが合理的配慮です。

3. 学校での具体例

発達障害のある子どもの例としては、次のようなものがあります。

  • 読み書きが苦手な子:テストの問題を読み上げる、タブレットで書く、時間を延ばす
  • 聴覚過敏のある子:イヤーマフの使用を認める、静かな場所で休める
  • 見通しがないと不安な子:一日の予定を事前に伝える、変更があれば早めに知らせる
  • 注意が続きにくい子:座席を前にする、指示を一つずつ出す
  • 板書が苦手な子:タブレットで板書を撮影する、プリントを配る
  • テストで時間が足りない子:テスト時間を延ばす、別室で受験する
  • 口で言われると抜ける子:指示を紙で配る

これらは「例」であり、どれもすべての子に必要なわけではありません。

文部科学省の2022年(令和4年)12月の調査では、通常の学級に在籍する小中学生のうち、担任などの回答で「学習面または行動面で著しい困難を示す」とされた児童生徒は8.8%でした。これは診断を受けた子の割合ではありません。35人学級で約3人というのは、単純に計算した目安です。配慮が必要な子は、どの教室にもいると考えられます。

4. 頼むときのコツ

  • 困りごとを具体的に伝える:「授業についていけない」より「板書を写している間に説明が終わってしまう」
  • 希望する配慮を書いて渡す:口頭だけより、メモにして渡すと共有しやすい
  • 根拠があれば添える:診断書、検査結果、通級や療育での気づきなど
  • 子どもの考えも聞く:本人が「それは嫌だ」と感じる配慮もあります
  • 試して、見直す:合わなければ、変えてよいものです

5. たぶのメモ

できるように見える。だからこそ、こぼれおちているものに、まわりは気づけない。

できないというより、こぼれおちていた。耳が聞こえないことについて、伝えることをふたつに絞ったら、子どもたちがちゃんと受けとってくれたように。タイマーひとつ、指示のしかたひとつで、ぐっと働きやすくなった。

「なんでやらないの」と問いつめる前に、こちらから伝え方を変えてみる。聞き方も工夫できる。その視点を、私もそっと持っておきたいと思います。

出典:発達障害と聴覚障害の児童指導員|「やる気はあるのに伝わらない」を越えて(note)

結び

合理的配慮は、わがままを通すことではなく、同じスタートラインに立つための調整です。

「言いにくい」と感じるのは自然です。子どもの困りごとを具体的に伝え、学校と一緒に工夫を探していきましょう。

参考資料

  • 内閣府 障害者差別解消法 https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html
  • 文部科学省 特別支援教育 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main.htm
  • 文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」2022年

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書いた人 たぶ先生(いわおひろあき)
東北大学大学院文学研究科で社会学(理論社会学・地域社会学)を学び、博士後期課程まで進む(博士論文は未提出)。早稲田大学卒。発達特性のある子どもたちとのマンツーマン療育・教育に2010年から携わる。仙台で発達障害専門の家庭教師としてスタートし、児童発達支援・放課後等デイサービスの現場、複数施設のマネジメントを経験。いまは発達障害のインタビュー研究を続けながら、オンライン家庭教師・療育相談「いっかく」を開いている。

保育士/中学校・高等学校教員専修免許(社会・公民)/文学修士(専攻は社会学)/社会福祉士/児童発達支援管理責任者/産業カウンセラー

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