はじめに
「みんなと同じ教室で学ばせたい。でも、苦手なところには手当てがほしい」。そんな願いに応える制度のひとつが、通級指導教室です。
このノートでは、通級とは何か、どんな子が対象か、特別支援学級とのちがい、利用するときのコツを整理します。
1. 通級指導教室(通級)とは何か
通級は、通常の学級に在籍しながら、週に数時間など一部の時間だけ、障害に応じた特別の指導を受ける制度です。学校教育法施行規則第140条にもとづく「特別の教育課程」のひとつです。内容は、特別支援学校の「自立活動」にあたるものです。
「通級による指導」と呼ばれ、国語や算数の授業とは別に、自分の苦手さに合わせた練習をします。2018年度からは、高校でも制度が始まっています。
通う時間数は、標準で年間35〜280単位時間(週1〜8時間ほど)です。ただし、LD(学習障害)とADHD(注意欠如・多動症)の子は、年間10単位時間(月1回程度)から利用できます。文部科学省は、通級を「単なる各教科の遅れを補充するための指導ではない」としています。
2. 対象と、通い方
対象になる障害の種類は、法令などで決まっています。発達障害に関係するものとしては、自閉症、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、情緒障害、言語障害などがあります。
通い方は大きく3つあります。
- 自校通級:自分の学校の通級教室に通う
- 他校通級:ほかの学校の通級教室に通う(保護者の送迎が必要なことも)
- 巡回指導:通級の先生が、自分の学校に来てくれる
設置状況や手続きは、自治体や学校によってちがいます。学校や教育委員会に確かめるのがいちばん確実です。
3. 特別支援学級とのちがい
大きなちがいは、在籍する学級です。通級は「通常の学級に在籍」し、特別支援学級は「特別支援学級に在籍」します(特別支援学級)。
通級は、大部分の時間を在籍学級でみんなと過ごし、必要な時間だけ別の場で学びます。このため、「教室を移動する時間」や「その間の授業をどうするか」を、学校や家庭で相談しておく必要があります。
どちらが合うかは、子どもの困りごとの種類や強さ、学校の状況で変わります。就学相談や教育支援委員会などで、相談できます。
4. 利用するときのコツ
- 何を練習するのかを聞く:目標を、担任の先生ともそろえておく
- 子どもに説明する:「できないから行く」ではなく「得意になる練習に行く」と伝える
- 抜ける時間の授業をどうするか確認する:学習の遅れを防ぐ工夫が必要です
- 在籍学級の先生と共有する:通級で学んだ工夫を、教室でも使えるように
- 定期的に見直す:必要がなくなれば終了もできます
結び
通級は、みんなと同じ場にいながら、自分に合う学び方を手に入れるための仕組みです。
子どもが「行ってよかった」と思えるように、学校とよく話し合いながら進めていきましょう。
参考資料
- 文部科学省 特別支援教育 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main.htm
- 国立特別支援教育総合研究所 https://www.nise.go.jp/
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書いた人 たぶ先生(いわおひろあき)
東北大学大学院文学研究科で社会学(理論社会学・地域社会学)を学び、博士後期課程まで進む(博士論文は未提出)。早稲田大学卒。発達特性のある子どもたちとのマンツーマン療育・教育に2010年から携わる。仙台で発達障害専門の家庭教師としてスタートし、児童発達支援・放課後等デイサービスの現場、複数施設のマネジメントを経験。いまは発達障害のインタビュー研究を続けながら、オンライン家庭教師・療育相談「いっかく」を開いている。
保育士/中学校・高等学校教員専修免許(社会・公民)/文学修士(専攻は社会学)/社会福祉士/児童発達支援管理責任者/産業カウンセラー
