はじめに
「保育園や幼稚園のほかに、通える場所があるらしい」。そう聞いて、調べはじめた方もいるかもしれません。
児童発達支援は、就学前の子どもが通える、福祉の療育サービスです。このノートでは、対象、利用の流れ、費用の考え方、選ぶときのコツを整理します。
1. 児童発達支援とは何か
児童発達支援は、児童福祉法にもとづく障害児通所支援のひとつです。小学校に入る前の子どもが、日常生活の力や集団生活への適応の力を育てるために通います。
事業は大きく2つに分かれます。児童発達支援センターは、地域の療育の中心になる施設で、通う子への支援のほか、地域の保育園や家庭への相談・助言もします。児童発達支援事業所は、民間の法人などが運営する、より身近な通いの場です。
こども家庭庁は、2024年(令和6年)7月に「児童発達支援ガイドライン」「放課後等デイサービスガイドライン」を改定しました。個別支援計画では、「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の「5領域」の視点でアセスメントし、子どものニーズに合わせて組み合わせて支援することが求められています。
2. 対象と使い方
対象は、未就学で、発達に遅れや偏りがあり、支援が必要と認められた子どもです。障害の診断がなくても、市区町村が必要と認めれば利用できることがあります。判断の方法は自治体によってちがうので、窓口で確かめてください。
利用するには、市区町村から受給者証を受けとる必要があります(受給者証)。通う頻度は、週1回ほどから複数日まで、子どもの状況と事業所の空きによって決まります。
費用は、原則として利用者の負担が1割で、世帯の収入に応じた月の上限があります。3歳から5歳の子どもは、2019年10月から利用料が無償化されています。くわしい扱いは自治体で確認しましょう。
3. 事業所の選び方
同じ「児童発達支援」でも、事業所ごとに特色があります。
- 集団での活動が中心か、個別の支援が中心か
- 遊びの中で学ぶか、課題を決めて取り組むか
- 保護者も一緒に参加する時間があるか
- 送迎があるか、通いやすい場所か
- 保育園・幼稚園との併用がしやすいか
子どもの得意・苦手だけでなく、家族の生活に無理のない形かどうかも大切な基準です。
4. 利用するときのコツ
- 見学は複数行く:雰囲気は行ってみないとわかりません
- 個別支援計画を確認する:どんな目標で何をするのかを聞く(個別支援計画)
- 家での様子を担当者に伝える:事業所の支援と家の関わりがつながると、力が伸びやすくなります
- 就学に向けて相談する:年長になったら、学校選びや就学相談の流れも聞いておく
- 合わなければ変えてよい:子どもが楽しく通えているかを、いちばんの目安に
5. たぶのメモ
児童発達支援と、放課後等デイサービス。ふたつのガイドラインは、同じ「人間関係・社会性」の項目でも、ところどころ言葉が違います。児発では「芽生え」、放デイでは「構築」。たった一語ですが、違いがあります。
勉強会のあと、私はガイドラインの「芽生え」という言葉を、あらためて読みなおしていました。芽生えは、こちらが植えるものではなく、その子のなかから出てくるもの。では、その芽生えから、どうやって「構築」へつないでいくのか。答えは、この1時間では出ていません。
出典:「プログラムを立てると、できちゃうんですよ」──けんかのない年長児クラスに、支援者は何を見ているか。児発・放デイの支援者と読むガイドライン(オ)「人間関係・社会性」(note)
結び
児童発達支援は、子どもが「やってみたい」を安心して試せる場所であり、親が悩みを分け合える場所でもあります。
「通わせたら負け」ではありません。使えるものを使いながら、その子に合う育ちの場を探していきましょう。
参考資料
- こども家庭庁 https://www.cfa.go.jp/
- こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」2024年 https://www.cfa.go.jp/
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- 「プログラムを立てると、できちゃうんですよ」──けんかのない年長児クラスに、支援者は何を見ているか(note)
書いた人 たぶ先生(いわおひろあき)
東北大学大学院文学研究科で社会学(理論社会学・地域社会学)を学び、博士後期課程まで進む(博士論文は未提出)。早稲田大学卒。発達特性のある子どもたちとのマンツーマン療育・教育に2010年から携わる。仙台で発達障害専門の家庭教師としてスタートし、児童発達支援・放課後等デイサービスの現場、複数施設のマネジメントを経験。いまは発達障害のインタビュー研究を続けながら、オンライン家庭教師・療育相談「いっかく」を開いている。
保育士/中学校・高等学校教員専修免許(社会・公民)/文学修士(専攻は社会学)/社会福祉士/児童発達支援管理責任者/産業カウンセラー
