はじめに
「療育を受けてみませんか」と言われて、「病気扱いされたようでショックだった」という声を聞くことがあります。
療育は、子どもを「治す」ための場所ではありません。その子が毎日をすごしやすくなる力を、一緒に育てていく取り組みです。
このノートでは、療育とは何か、どんな場があるのか、発達障害との関係、受けるときのコツを整理します。
1. 療育とは何か
療育は、発達に遅れや偏り、気になるところのある子どもが、社会の中で自分らしく暮らしていけるように、育ちを支える取り組みのことです。もとは、体に障害のある子どもの医療と教育をつなぐことばとして使われはじめました。
今は、ことば、体の使い方、人とのやりとり、身のまわりのことなど、生活に必要な力を、遊びや活動を通して育てることを指すのが一般的です。
「訓練」というより、「その子に合った育ち方を、まわりが一緒に探すこと」と考えるとイメージしやすいでしょう。
2. どんな場で、何をするの?
療育の場には、いくつかの種類があります。
- 児童発達支援:未就学の子どもが通う場(児童発達支援)
- 放課後等デイサービス:小学生から高校生までが、放課後や休みの日に通う場(放課後等デイサービス)
- 病院やリハビリの場:言語聴覚士、作業療法士などによる個別の支援
- 自治体の親子教室:保健センターなどが開く、親子で参加する教室
内容は、少人数での遊び、ことばの練習、身のまわりのことの練習、友だちとのやりとりの練習など、場によってちがいます。同じ名前でも、方針やプログラムは事業所ごとにさまざまです。
3. 療育と発達障害の関係
療育は、発達障害(自閉スペクトラム症、ADHD、LDなど)のある子どもが多く利用しますが、診断がついてからでないと受けられない、というものではありません。「ことばが遅い」「集団が苦手」など、気になる段階から相談できる自治体も多くあります。
早く始めるほどよい、と言われることもあります。ただ、始める時期より、その子と家族に合う場に出会えることのほうが大切です。
療育は、できないことを無理に「できるように」する場ではありません。その子の得意を伸ばし、苦手とのつきあい方を一緒に見つけていく場です。
4. 受けるときの流れとコツ
- まず相談する:市区町村の障害福祉の窓口、子育て支援課、保健センターなど(名前や窓口は自治体で異なります)
- 見学や体験に行く:子どもの表情、職員の声かけ、部屋の雰囲気を見る
- 通う場を決める:福祉サービスを使う場合は、市区町村が出す受給者証が必要です(受給者証)
- 家庭と共有する:事業所での様子と、家での様子を伝え合う
- 合わなければ見直す:場を変えても、休んでもよい。親子がしんどくなる使い方は、見直しのサインです
5. たぶのメモ
これまでの療育は、どうしても「できないことをできるようにする」というやり方が中心でした。でも、ぼくが目指したいのは「強制(矯正)しない療育」です。
大切なのは、その子を「変える」ことではなく、その子が「伸びていく方向」を見つけることです。盆栽を無理やり曲げるのではなく、太陽の方向に自然に伸びていけるよう環境を整える。そんなイメージです。
気合いとか、根性とか、大事なんですけど、でも、それだけではあまりにも乗り越えるのがたいへんだから、療育ってものが出てきたのだろうと思います。
出典:発達障害の子と原始反射|伸びていく方向へ(note)
結び
療育は、子どもを変えるための場所ではなく、子どもと家族が、暮らしやすくなる道を一緒に探す場所です。
迷ったときは、まず相談だけでも大丈夫です。話してみることで、見えてくるものがあります。
参考資料
- こども家庭庁 https://www.cfa.go.jp/
- 厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」
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書いた人 たぶ先生(いわおひろあき)
東北大学大学院文学研究科で社会学(理論社会学・地域社会学)を学び、博士後期課程まで進む(博士論文は未提出)。早稲田大学卒。発達特性のある子どもたちとのマンツーマン療育・教育に2010年から携わる。仙台で発達障害専門の家庭教師としてスタートし、児童発達支援・放課後等デイサービスの現場、複数施設のマネジメントを経験。いまは発達障害のインタビュー研究を続けながら、オンライン家庭教師・療育相談「いっかく」を開いている。
保育士/中学校・高等学校教員専修免許(社会・公民)/文学修士(専攻は社会学)/社会福祉士/児童発達支援管理責任者/産業カウンセラー
