はじめに
「最近、学校に行きたがらない」「ちょっとしたことで怒り出す」「何も言わなくなった」。発達障害のある子の様子が、ある時期から変わってきたと感じたことはありませんか。
それは、特性そのものではなく、二次障害と呼ばれるものかもしれません。このノートでは、二次障害とは何か、どんな様子が見られるか、防ぐために何ができるかを整理します。
1. 二次障害とは何か
二次障害は、発達の特性そのもの(一次的な困りごと)とは別に、うまくいかない経験や、周囲との摩擦が重なって、あとから生じる心や行動の不調をさす言葉です。
正式な診断名というより、支援の現場でよく使われる言い方です。「二次的な問題」と言われることもあります。
生まれつきの特性が一次的なものだとすれば、叱られる、からかわれる、失敗がくり返される、といった経験を経て起きるのが二次的なものです。つまり、環境や関わり方によって、防げる部分があるということです。
2. 二次障害で見られやすい様子
現れ方は子どもによってさまざまです。内側に向かうものと、外側に向かうものがあります。
- 不安が強くなる:登校前に腹痛・頭痛を訴える、新しいことを極端に避ける
- 気分が落ちこむ:元気がなくなる、食欲や睡眠が乱れる、「自分はだめだ」と話す
- 不登校・引きこもり:学校や外出を拒むようになる
- 反抗的になる・暴言や暴力:注意されるたびに強く反発する
- こだわりや癖の強まり:ストレスで、くり返しの行動が増える
成長とともに、青年期や大人になってから表に出ることもあります。気づいたときが、支援の始めどきです。
3. 発達障害との関係と、起こりやすい背景
二次障害は、ASD、ADHD、LDなど、どの特性の子にも起こりえます。診断がついていないグレーゾーンの場合は、困りごとが見過ごされるぶん、起きやすいという指摘もあります。
背景としてよく挙げられるのは、次のようなことです。
- 努力しても結果が出ず、叱られる経験が続く
- 特性への理解がない環境で、毎日がんばりつづける
- いじめや仲間はずれなど、人間関係でのつらい経験
- 本人が自分の特性を知らず、理由のわからない苦しさを抱える
二次障害の程度によっては、精神科や心療内科などの医療機関への相談が必要になることもあります。
4. 家や学校でできるサポート
- 叱る前に、特性の視点で見る:「わざと」ではなく「できない理由」を探す
- 失敗を減らし、成功を増やす:課題の量や難しさを調整し、「できた」を作る
- 安心して休める場所をつくる:家でも学校でも、頑張らなくていい時間を
- 気持ちを話せる相手を増やす:親、先生、スクールカウンセラー、支援者など
- 早めに相談する:様子の変化を感じたら、学校、地域の相談窓口、医療機関へ
- 本人に、特性の説明をする:年齢に合わせて、「あなたが悪いのではない」と伝える
不登校が長く続く場合なども、「戻すこと」だけを目標にせず、本人が安心して過ごせる場所を増やすことが、回復の土台になります。
結び
二次障害は、子どもの弱さではなく、がんばりすぎたサインです。
特性に気づき、環境を整えることで、防げることも、軽くできることもあります。変化を感じたら、ひとりで抱えずに相談してください。
参考資料
- 発達障害情報・支援センター https://www.rehab.go.jp/ddis/
- 国立特別支援教育総合研究所 https://www.nise.go.jp/
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書いた人 たぶ先生(いわおひろあき)
東北大学大学院文学研究科で社会学(理論社会学・地域社会学)を学び、博士後期課程まで進む(博士論文は未提出)。早稲田大学卒。発達特性のある子どもたちとのマンツーマン療育・教育に2010年から携わる。仙台で発達障害専門の家庭教師としてスタートし、児童発達支援・放課後等デイサービスの現場、複数施設のマネジメントを経験。いまは発達障害のインタビュー研究を続けながら、オンライン家庭教師・療育相談「いっかく」を開いている。
保育士/中学校・高等学校教員専修免許(社会・公民)/文学修士(専攻は社会学)/社会福祉士/児童発達支援管理責任者/産業カウンセラー
