はじめに
「何度言っても伝わらない」と感じるとき、言い方を変える前に、目で見せるという方法があります。
それが視覚支援です。このノートでは、視覚支援とは何か、なぜ役立つのか、具体的な種類、発達障害との関係、家での作り方のコツを整理します。
1. 視覚支援とは何か
視覚支援は、絵、写真、文字、色、マークなど、目で見てわかるものを使って、情報を伝える支援です。「見える化」とも呼ばれます。
言葉は、話した瞬間に消えてしまいます。一方、紙に書いたものや絵は、そこに残り続けます。聞いたことを覚えておくのが苦手な子にとって、何度でも見返せることは大きな助けになります。
視覚支援は、構造化(TEACCH)の中でも、中心になる考え方です。
2. 視覚支援の種類と具体例
- スケジュール:一日や午前の流れを、絵カードや文字で並べる
- 手順表:歯みがき、着替え、手洗いなどを、順番に絵で示す
- ルールカード:「図書館では小さい声」を、イラストと短い文で見せる
- タイマー:残り時間を色や形で見せる(時間の長さが目で見てわかる)
- 選択肢カード:「どっちにする?」を2枚のカードで見せ、指さしで選べるようにする
- 色分け:教科ごとにノートやファイルの色を変える
「言葉が出にくい子のための道具」というだけでなく、言葉が話せる子にも役に立ちます。
3. 視覚支援と発達障害の関係
自閉スペクトラム症(ASD)のある子には、見て理解するのが得意で、聞いて理解するのが苦手な子がいます。ADHDのある子やワーキングメモリが弱い子にとっても、「覚えておく負担」を減らせる点で有効です。
ただし、視覚支援が合わない子もいます。絵が多すぎて混乱する子、文字のほうが分かりやすい子、写真のほうが伝わる子。その子が理解しやすい形は、それぞれ違います。
「効果的な方法」は一つではなく、子どもに合わせて選ぶものです。
4. 家でできる作り方のコツ
- 最初は1つだけ作る:朝の支度など、いちばん困る場面から
- シンプルにする:1枚に載せる情報は少なく、余白を残す
- その子の理解に合わせる:実物、写真、絵、文字の順に、抽象度が高くなる
- 置く場所を決める:目につく、いつもの場所に
- 一緒に作る:本人に絵を選ばせると、見る気持ちが高まる
- 慣れたら見直す:必要がなくなったら減らしていく
結び
視覚支援は、「言葉で伝わらない子のための特別な道具」ではありません。誰にとってもわかりやすい、伝え方のひとつです。
何度も同じことを言ってつらくなったら、一度、紙に書いてみる。それだけで、親子の関係が少し楽になることがあります。
参考資料
- 発達障害情報・支援センター https://www.rehab.go.jp/ddis/
- 国立特別支援教育総合研究所 https://www.nise.go.jp/
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書いた人 たぶ先生(いわおひろあき)
東北大学大学院文学研究科で社会学(理論社会学・地域社会学)を学び、博士後期課程まで進む(博士論文は未提出)。早稲田大学卒。発達特性のある子どもたちとのマンツーマン療育・教育に2010年から携わる。仙台で発達障害専門の家庭教師としてスタートし、児童発達支援・放課後等デイサービスの現場、複数施設のマネジメントを経験。いまは発達障害のインタビュー研究を続けながら、オンライン家庭教師・療育相談「いっかく」を開いている。
保育士/中学校・高等学校教員専修免許(社会・公民)/文学修士(専攻は社会学)/社会福祉士/児童発達支援管理責任者/産業カウンセラー
