処理速度とは?意味と具体例
東北大学院卒の発達障害学習ノート

たぶ先生(いわおひろあき) ・ 2026.10.13

はじめに

「ていねいに書くから時間がかかる」「テストで最後まで終わらない」「宿題に何時間もかかる」。頑張っているのに、周りより時間がかかってしまう子がいます。

その背景には、処理速度の特徴があるかもしれません。このノートでは、処理速度とは何か、WISCとの関係、弱いと起きる困りごと、発達障害との関係、サポートを整理します。

1. 処理速度とは何か

処理速度は、見た情報をすばやく、正確に処理して、書いたり答えたりする力のことです。単純な作業を、集中して、手早くこなす力ともいえます。

ここでいう処理速度は、WISCの決まった課題で測る作業の速さです。日常の遅さには、ほかの理由もあります。

WISC(ウィスク)という知能検査には、「処理速度指標」があります。たとえば、決められた記号を書き写す「符号」、並んだ図形から目的の記号を探す「記号探し」などの課題で、速さと正確さを測ります。

知識の多さや考える力とは、別の力です。処理速度が低いからといって、頭が悪いわけではありません。

2. 処理速度がゆっくりだと、どんな困りごとが見られる場合がある?

  • 板書を写すのに時間がかかる:黒板を見て、ノートに書くのが追いつかない
  • テストや課題を時間内に終えられない:内容はわかっているのに、書ききれない
  • 宿題に時間がかかる:ほかの子の何倍もかかり、夜までかかる
  • 準備や身支度が遅い:朝、時間までに終わらない
  • 疲れやすい:頑張るほど消耗して、午後に集中が切れる

そういう困りごとが見られる場合もあります。「やる気がない」「のんびりしている」と見られやすく、本人も「自分は遅い」と自信をなくしがちです。

3. 処理速度と発達障害の関係

ADHDや自閉スペクトラム症(ASD)、LD(学習障害)のある子の中には、WISCの処理速度指標が他の指標より低い子がいます。ただし、処理速度が低い=発達障害、ではありません。発達障害のある子がみんな低いわけでもありません。

処理速度の数値は、その日の体調や、取り組んだ意欲にも左右されます。指標の数字だけで、困りごとの理由は決まりません。生活の様子や検査をした人の説明と合わせて考えましょう。

また、処理速度を直接伸ばす方法は、はっきりと確立されているわけではありません。「速くなるまで頑張らせる」より、「ゆっくりでも困らない環境にする」方向が、子どもを守ります。

4. 家や学校でできるサポート

  • 時間を延ばす:テストや課題の時間を長めにする(学校に配慮を相談できます)
  • 書く量を減らす:板書を写す代わりに、プリントを配る、写真に撮る、一部だけ書く
  • 道具を使う:タブレットやパソコンでの入力、書きやすい鉛筆や下敷き
  • 宿題の量を調整する:「全部」ではなく「ここまで」でOKにする
  • 急かさない:「早く!」より、「あと何分で終わりそう?」と一緒に見通しを立てる
  • 休憩をはさむ:疲れが出る前に、短く休む

結び

処理速度はゆっくりでも、考える力や理解する力が低いとは限りません。「遅い」を「その子のペース」と捉え直すだけで、関わり方が変わります。

同じ結果を出すために、手間のかかり方が違う。そのことを知って、周りが環境を合わせてあげたいものです。

参考資料

  • 日本版WISC-V知能検査 日本文化科学社
  • 発達障害情報・支援センター https://www.rehab.go.jp/ddis/

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書いた人 たぶ先生(いわおひろあき)
東北大学大学院文学研究科で社会学(理論社会学・地域社会学)を学び、博士後期課程まで進む(博士論文は未提出)。早稲田大学卒。発達特性のある子どもたちとのマンツーマン療育・教育に2010年から携わる。仙台で発達障害専門の家庭教師としてスタートし、児童発達支援・放課後等デイサービスの現場、複数施設のマネジメントを経験。いまは発達障害のインタビュー研究を続けながら、オンライン家庭教師・療育相談「いっかく」を開いている。

保育士/中学校・高等学校教員専修免許(社会・公民)/文学修士(専攻は社会学)/社会福祉士/児童発達支援管理責任者/産業カウンセラー

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