はじめに
「最近、まばたきが多い」「咳ばらいのような声がくり返し出る」。気づいたとき、親としては不安になるものです。
それはチックかもしれません。このノートでは、チックとは何か、種類、発達障害との関係、家や学校での接し方を整理します。
1. チックとは何か
チックは、突然、素早く、くり返し起きる、目的のない動きや発声のことです。本人の意思でわざとやっているのではなく、止めようと思っても止めにくいのが特徴です。
子どもに見られることは、めずらしくありません。チックが出たり消えたり、種類が変わったりするのも、よくあることです。
緊張や興奮、疲れ、逆に気が抜けたときに増えるなど、状況によって強さが変わります。
2. 運動チックと音声チック
- 運動チック:まばたき、顔をしかめる、首をふる、肩をすくめる、など
- 音声チック:咳ばらい、鼻をならす、声を出す、単語をくり返す、など
それぞれに、動きが単純なものと、いくつかの動きが組み合わさった複雑なものがあります。
トゥレット症(トゥレット症候群)は、18歳になる前に始まり、複数の運動チックと1つ以上の音声チックが、1年以上続く場合などに考えられます。診断は医師が行います。
3. 発達障害との関係
チックは、診断の基準を示すDSM-5では、神経発達症の仲間に入っています。ADHDや自閉スペクトラム症、強迫症などと一緒に見られることもあります。
ただし、チックがある=発達障害、というわけではありません。逆に、発達障害のある子みんなにチックがあるわけでもありません。
多くのチックは、成長とともに軽くなると言われています。気になるときは、小児科や児童精神科、小児神経科などに相談できます。
4. 家や学校での接し方
- 指摘しない・やめさせない:「やめなさい」と言われるほど、意識して増えることがあります
- 気にしすぎない:親が不安そうにしていると、子も気にしてしまいます
- 周囲に説明する:先生や友だちに「わざとじゃない」と伝える。本人と相談して、どこまで話すか決める
- ストレスを減らす:睡眠や休息をとり、予定をつめこみすぎない
- 困りごとが大きいときは相談する:痛みがある、学校生活に支障が出るなどの場合は、専門の医療機関へ
結び
チックは、本人にとっても「勝手に出てしまうもの」です。まわりが責めないだけで、気持ちが楽になる子はたくさんいます。
心配なときは、ひとりで抱えず、専門の窓口に相談してください。
参考資料
- American Psychiatric Association (2013). Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition. (日本語版:日本精神神経学会(監修)『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』医学書院、2014年)
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書いた人 たぶ先生(いわおひろあき)
東北大学大学院文学研究科で社会学(理論社会学・地域社会学)を学び、博士後期課程まで進む(博士論文は未提出)。早稲田大学卒。発達特性のある子どもたちとのマンツーマン療育・教育に2010年から携わる。仙台で発達障害専門の家庭教師としてスタートし、児童発達支援・放課後等デイサービスの現場、複数施設のマネジメントを経験。いまは発達障害のインタビュー研究を続けながら、オンライン家庭教師・療育相談「いっかく」を開いている。
保育士/中学校・高等学校教員専修免許(社会・公民)/文学修士(専攻は社会学)/社会福祉士/児童発達支援管理責任者/産業カウンセラー
