かんしゃく・パニックとは?意味と具体例
東北大学院卒の発達障害学習ノート

たぶ先生(いわおひろあき) ・ 2026.10.13

はじめに

スーパーの床で泣き叫ぶ。急に物を投げる。予定が変わっただけで、大声を出して固まる。こうした場面は、保護者にとって、とてもつらい時間です。

このノートでは、かんしゃくとパニックについて、起きる理由、発達障害との関係、その場での対応、起きにくくする工夫を整理します。

1. かんしゃく・パニックとは何か

かんしゃくは、思い通りにならない怒りや不満が爆発して、泣く、叫ぶ、ものを投げるなどの行動に出ることをいいます。小さな子どもによく見られ、成長とともに減っていきます。

パニックは、不安や混乱、刺激の強さなどで、頭が真っ白になり、自分でも止められなくなる状態を指します。かんしゃくより、本人の意思でおさえるのが難しい状態として使われることが多いです。

両方とも、わざとやっているのではないことがほとんどです。子ども自身も、苦しい状態の中にいます。

2. 起きる理由と具体例

きっかけは、子どもによってさまざまです。

  • 見通しが立たない:急な予定変更、初めての場所
  • やりたいことを言葉で伝えられない:気持ちはあるのに、言葉が追いつかない
  • 感覚の刺激:大きな音、まぶしい光、人混み(感覚過敏)
  • 疲れ・空腹・眠気:体調がくずれていると、限界が低くなる
  • 切りかえの苦手さ:遊びをやめる、次の活動に移る
  • こだわりが通らない:決まった順番や物が、思い通りにならない

「あの子はいつも急に怒る」ように見えても、振り返ると、直前に何かの「きっかけ」があることが多いものです。

3. 発達障害との関係

自閉スペクトラム症(ASD)のある子は、見通しの立たなさ、感覚の過敏さ、こだわりなどから、パニックが起きやすいことがあります。ADHDのある子は、衝動のおさえにくさから、かんしゃくが強く出ることがあります。

ただし、かんしゃくやパニックは、発達障害のない子にも起こります。起きること自体が診断の目印になるわけではありません。年齢に比べて頻度が高い、長く続く、自分や人を傷つけてしまう、といった場合は、専門家に相談してみる価値があります。

4. その場の対応と、起きにくくする工夫

その場で

  • 安全を確保する:ぶつかる物をどける、人の少ない場所に移る
  • 声かけは短く、少なく:「大丈夫、ここにいるよ」程度。説得は後で
  • 刺激を減らす:静かで暗めの場所、イヤーマフなど
  • 落ち着くのを待つ:収まってから、気持ちを言葉にする手伝いをする

ふだんから

  • 予定を事前に見せる:視覚支援や、構造化を使う
  • 気持ちを伝える手段を作る:カードや指さし、「いやだ」「休みたい」の合図
  • 引き金を記録する:いつ、どこで、何の直前だったか。パターンが見えてくる
  • 生活のリズムを整える:睡眠・食事・休憩

結び

かんしゃくやパニックは、「困らせたい」のではなく、「困っている」というサインです。止めようとするより、きっかけを減らし、落ち着ける場を用意するほうが、近道になることが多くあります。

保護者が疲れ切ってしまったときは、一人で抱えず、相談窓口や療育に頼ってください。

参考資料

  • 発達障害情報・支援センター https://www.rehab.go.jp/ddis/
  • 国立特別支援教育総合研究所 https://www.nise.go.jp/

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書いた人 たぶ先生(いわおひろあき)
東北大学大学院文学研究科で社会学(理論社会学・地域社会学)を学び、博士後期課程まで進む(博士論文は未提出)。早稲田大学卒。発達特性のある子どもたちとのマンツーマン療育・教育に2010年から携わる。仙台で発達障害専門の家庭教師としてスタートし、児童発達支援・放課後等デイサービスの現場、複数施設のマネジメントを経験。いまは発達障害のインタビュー研究を続けながら、オンライン家庭教師・療育相談「いっかく」を開いている。

保育士/中学校・高等学校教員専修免許(社会・公民)/文学修士(専攻は社会学)/社会福祉士/児童発達支援管理責任者/産業カウンセラー

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