ガイドラインに書いてあること
5領域は、こどもを見る5つの視点です。ガイドラインは、5領域の視点をもれなく入れた総合的な支援を基本にしつつ、子どもによって比重はちがうとしています。
「人間関係・社会性」に挙がっている項目(児童発達支援)
- アタッチメント(愛着)の形成と安定
- 遊びを通じた社会性の発達
- 自己の理解と行動の調整
- 仲間づくりと集団への参加
放課後等デイサービスでは
- 情緒の安定
- 他者との関わり(人間関係)の形成
- 遊びを通じた社会性の発達
- 自己の理解と行動の調整
- 仲間づくりと集団への参加
児発と放デイのちがい
児発の先頭には「アタッチメント(愛着)の形成と安定」があります。アタッチメントとは、安心できる大人とのあいだに育つ心のつながりのことです。児発では、アタッチメント(安心できる大人との結びつき)の形成と安定が目標の一つです。
放デイには、「情緒の安定」と「他者との関わり(人間関係)の形成」が入っています。学校に通う年齢になり、人間関係が広がるぶん、気持ちの揺れや対人関係に目が向けられています。
放デイのガイドラインは、学齢期には二次障害やメンタルヘルスの課題を抱える場合もあり、それを乗り越えるには「自尊感情や自己効力感を育むことが重要」と述べています。自尊感情とは「自分は大切な存在だ」という気持ち、自己効力感とは「自分にもできそうだ」という感覚のことです。
用語を身近な言葉にすると
ここからは、項目名を日常の場面にあてはめた説明です。
- 遊びを通じた社会性の発達:一緒に遊ぶ、順番を待つ、勝ち負けを経験するなど、遊びの中で人との関わり方が育つこと。
- 自己の理解と行動の調整:自分の気持ちや得意・不得意に気づき、場面に合わせて行動をコントロールしていくこと。
- 仲間づくりと集団への参加:同じ年ごろのこどもと関わり、集団の中で自分の居場所を見つけること。
放デイの年齢ごとの目安
放デイのガイドラインは、学齢期を4つの区分(6〜8歳、9〜10歳、11〜12歳、13歳以降)に分け、仲間関係の変化を示しています。たとえば小学校高学年では、少人数の仲間と「秘密の世界」を共有し、友情が芽生える。思春期には、仲間との共感が支えになる一方、仲間との間のストレスが「劣等感」になって残ることもある、と書かれています。ただし、これは発達の基準ではなく、一人ひとりの発達過程を理解するための目安とされています。
親御さんのよくある質問
Q. 友だちと遊べないのは、「社会性」がないということですか?
そう決めつけることはありません。ガイドラインには「遊びを通じた社会性の発達」とあります。安心して過ごせる環境を整え、こどもの様子や意向に合わせて、遊びや人との関わりを支えます。友だちとのやりとりは、その先に育っていくものと考えられています。
Q. 児発で「アタッチメント」が出てくるのはなぜですか?
ガイドラインは、乳幼児期は障害の有無にかかわらず、生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期だと述べ、安定したアタッチメント(愛着)を形成することを児発の目標のひとつにしています。人との関わりの出発点は、安心できる大人との関係、という考え方です。
Q. 集団に入れなくて、いつも1人で遊んでいます。
「仲間づくりと集団への参加」は項目として挙がっていますが、集団への入り方は、こどもの意向や様子に合わせて事業所と相談しましょう。その子が安心できる距離から、少しずつ人との関わりが増えていくよう支えるのが、事業所の役割です。
Q. 気持ちの切り替えが苦手で、かんしゃくが多いです。
「自己の理解と行動の調整」に関わる内容です。放デイでは「情緒の安定」も項目に入っています。落ち着けるやり方を一緒に見つけていくのが支援の方向です。
Q. 思春期になって、反抗的になりました。
放デイのガイドラインには、思春期は心身が変化していく大切な時期で、戸惑いや親からの自立を目指す動きが、反抗的・攻撃的な態度として表れることも多いとされています。周囲の対応によっては、気持ちが不安定になる場合もあるとされています。ひとりで抱え込まず、職員に相談してください。
事業所を見るときのチェックポイント
- こどもが自分から関わりたいと思える遊びや活動が用意されていますか。
- 集団活動で、うまくいかないとき、職員がどう間に入っているか見てみましょう。
- 1人で過ごしたい時間や、落ち着ける場所も、認めてくれていますか。
- けんかやトラブルが起きたとき、叱るだけでなく、気持ちを整理する手助けをしていますか。
- 職員とこどもの間に、安心できる信頼関係が見えますか(児発では愛着の視点)。
- 学校や園での人間関係の悩みを、相談できる雰囲気ですか。
たぶのメモ
「人間関係・社会性」は、5領域のなかでも手ざわりのつかみにくい項目です。私(たぶ)は、支援者さんたちとこの1ページを読む勉強会を開いて、あらためてそう感じました。
ルールや手順を覚えることと、人と関わる楽しさを知ることは、同じではありません。「かして」「ごめんね」が気持ちより先に出てくるのに、けんかも起きない。それは一見すると、うまくいっている姿です。でも、段階を飛び越えた結果かもしれない、と私は思っています。
もうひとつ。「一人遊びが好きで、目が合わない子」と言われる子でも、関わる人によって、ボールを受けわたして笑うことがあります。やりとりのできない子ではなく、やりとりの入り口を、まだこちらが見つけられていないだけかもしれません。
ガイドラインの言葉は、一見すると無機質です。でも、目の前の子どもの姿と重ねて読むと、「日ごろの関わりに、実はこんなねらいがあったのか」と気づく瞬間があります。親御さんも、お子さんの姿とあわせて読んでみてください。
出典:「プログラムを立てると、できちゃうんですよ」(note・療育ガイドライン1ページ勉強会)
関係する用語
SST(ソーシャルスキルトレーニング)/自閉スペクトラム症(ASD)/ADHD(注意欠如・多動症)/自己肯定感/ペアレントトレーニング
参考資料
- こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」「放課後等デイサービスガイドライン」(2024年7月改定)と、その概要資料(2024年11月) こども家庭庁 障害児支援施策
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