宿題をしない(宿題ができない)とは?意味と具体例
東北大学院卒の発達障害学習ノート

たぶ先生(いわおひろあき) ・ 2026.10.13

はじめに

「何度言っても宿題を始めない」「やっと始めたと思ったら、2時間かかっている」。夕方の家庭で、親子ともにつらくなる時間のひとつが宿題です。

つい「怠けている」「やる気がない」と思ってしまいますが、宿題が進まない裏には、いくつかの理由が隠れていることが多いです。このノートでは、理由の切り分け方と、無理のない工夫を整理します。

1. 「宿題をしない」は、怠けではない

子どもが宿題に取りかかれないとき、本人も困っていることがあります。やらなければいけないのはわかっているのに、体が動かない。始めても、途中で止まる。それが毎日続くと、親子とも疲れきってしまいます。

「怠け」と決めてしまうと、叱る・言い聞かせる・取り上げる、といった対応になりがちです。けれども、理由が別のところにあれば、叱っても状況は変わりません。まずなぜ進まないのかを見つけることが、近道になります。

2. 困りごとの具体例:理由の切り分け

同じ「宿題をしない」でも、理由はいくつも考えられます。

  • 量が多すぎる:本人にとっては、終わりが見えないほどの量。見ただけで、やる気がしぼむ
  • 何をするかわからない:宿題の内容や、やり方、提出の仕方が理解できていない。連絡帳に書けていない
  • 始められない:やることはわかっているのに、最初の一歩が出ない。ゲームやテレビを切りかえられない。→ 実行機能のしにくさが関わることがあります
  • 疲れている:学校で一日がんばった後で、頭も体も限界。放課後の習い事で余裕がない
  • 字を書くのがつらい:書く量が多い宿題は、手や気持ちの負担が大きい。→ 書字障害
  • 内容が難しすぎる:一人ではできない課題で、手が止まる

1つだけが理由のこともあれば、いくつか重なっていることもあります。

3. どこでつまずくか(しくみ)と発達障害との関係

「始める」「続ける」「終わらせる」には、実行機能と呼ばれる力が使われます。やることの順番を考え、気持ちを切りかえ、必要なものを用意し、時間を見ながら進める力です。ADHDの子は、この力のしにくさが見られることがあります。

ワーキングメモリが弱いと、宿題の指示を覚えておけず、「何をするんだったっけ」と止まってしまいます。ASDのある子は、見通しが持てないことや、宿題の終わりが見えない不安で動けなくなることもあります。

LDがあると、宿題の内容そのものが負担になります。こうした背景を見ずに、「やりなさい」を重ねても、親子の関係が悪くなるだけになりがちです。

4. 家や学校でできるサポート

  • 量と時間を決める:「今日は15分だけ」「この1ページだけ」と、終わりを見える形にする
  • 最初の1問だけ一緒にやる:始めの一歩を一緒に踏み出すと、そのまま進めることがある
  • タイマーを使う:時間の長さが目で見えるタイマー(残り時間が色や形でわかるもの)が合う子も多い
  • チェックリストを作る:やることを書き出して、終わったら線で消す。ワーキングメモリの負担を減らす
  • 始める時間と場所を決める:「おやつのあと」「リビングの机」と固定すると、切りかえやすくなる
  • 書く量を減らす:口で答える、大人が書き取る、タブレットで入力する
  • 学校と量を相談する:「毎日1時間以上かかっている」と具体的に伝え、量を減らしたり、内容を変えたりできるかを担任の先生に聞く。合理的配慮の考え方にもとづく相談です

宿題が終わらないときに、親が一人で抱え込む必要はありません。「ここまでできました」で終わりにする日があってもかまいません。

結び

宿題が進まない子は、サボっているのではなく、どこかで困っていることがあります。叱る前に、「どこで止まっているのかな」と一緒に探してみてください。

量を決める、一緒に始める、終わりを見えるようにする。小さな工夫が、親子の夕方の時間を少し楽にしてくれます。

参考資料

  • 文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」2022年
  • 文部科学省 特別支援教育 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main.htm

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書いた人 たぶ先生(いわおひろあき)
東北大学大学院文学研究科で社会学(理論社会学・地域社会学)を学び、博士後期課程まで進む(博士論文は未提出)。早稲田大学卒。発達特性のある子どもたちとのマンツーマン療育・教育に2010年から携わる。仙台で発達障害専門の家庭教師としてスタートし、児童発達支援・放課後等デイサービスの現場、複数施設のマネジメントを経験。いまは発達障害のインタビュー研究を続けながら、オンライン家庭教師・療育相談「いっかく」を開いている。

保育士/中学校・高等学校教員専修免許(社会・公民)/文学修士(専攻は社会学)/社会福祉士/児童発達支援管理責任者/産業カウンセラー

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